協和発酵バイオ

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2017.3.1
2018年新卒採用のエントリーを開始しました!皆さんのご応募お待ちしています。

スーパーアミノ酸の機能性開発研究(シトルリン編)

HPDCではアミノ酸を始めとした素材の生理機能を科学的に解明して人々の暮らしに役立てる機能性開発研究を行っています。ダイエタリーサプリメントの消費が盛んなアメリカではもちろん、日本でも注目され始めているシトルリンについてHPDCの研究職に聞いてみました!

こちらの研究職の方々に聞きました!

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機能開発G 入社7年目

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機能開発G 入社2年目

シトルリンとは
どんなアミノ酸ですか?

シトルリンは1930年に日本でスイカから発見されたアミノ酸です。シトルリンはスイカをはじめウリ科の植物に多く含まれているアミノ酸であり、名前はスイカの学名Citrullus vulgaris(シトルラス ブルガリス)から名づけられました。日本では近年食品としての利用が可能となったばかりであるためあまり馴染みがないかもしれません。しかし欧米では1930年代から積極的に利用されており、アメリカでは主に健康食品、ヨーロッパではリンゴ酸塩の形で疲労回復のOTC(一般用)医薬品として利用されています。

ではシトルリンはどんなことに役立つのでしょうか?シトルリンは体内でアルギニンに変換され、一酸化窒素(NO)を産出します。このNOには血管の筋肉を柔らかくして拡張させ、血流を促進する働きや、血管内のコレステロールや血栓の発生を抑えるといった血管機能向上の働きなどがあります。血液のめぐりが悪いと、内臓機能の低下をはじめ、むくみや冷え、さらには動脈硬化といった症状を引き起こす可能性があります。シトルリンを摂取することによって、これらの症状が改善されることはもちろん、運動でのパフォーマンスアップや勉強時における集中力アップも期待されます。このように健やかな生活を様々なシーンでサポートでき、注目を集めている成分であることから「スーパーアミノ酸」とも言えますね。

シトルリンがサポートする健康

シトルリンがサポートする健康

HPDCではシトルリンについて
どんな研究を行っているのですか?

HPDCでは健康食品素材に関して大きく分けて2つの観点で研究を行っています。まず1つ目は、当社が販売している素材の効果をお客様に伝えるために科学的な根拠を分かりやすく示す研究です。2つ目は、大学などの研究機関と私たちが協議を行いながら共同で作用メカニズムなどを明らかにしていく基礎研究です。

ではシトルリンに関してこの2つの研究内容を詳しく教えてください!!

素材の効果を
科学的に分かりやすく証明するための研究

素材の効果を科学的に分かりやすく証明するための研究については、最近ではシトルリンのむくみ抑制効果についてヒト試験を行うことによって効果を証明しました。取得したデータは主に販売促進に用いるため、これらの研究はマーケティングを担当する部署の要望で始まることが多いです。ただ、単に販促に役立ちそうという表面的な理由ではなく、研究として科学的視点でデータが得られる可能性があるかということも考慮してテーマを決定しています。研究テーマが決まると試験を行う前に、一般の人からアンケートを取ったり、論文調査や大学の先生と議論することによって考えられる仮説を立てます。最終的に得られるデータは実際に製品開発につながるものであり、一目で分かるインパクトを示す必要があります。そのため、ヒト試験では本試験の前にプレ試験を数回行うことで被験者を選抜し、データのばらつきを防ぐ工夫が大切です。厳選に選抜された被験者による試験を行った結果、シトルリンの経口摂取による下肢のむくみ抑制作用が認められました。

シトルリンの投与によるむくみ発現の変化

シトルリンの投与によるむくみ発現の変化
(薬理と治療 2012. 40(9), 改変)

ヒト試験には多くの手続きが伴い、テーマが決定してから試験開始まで1年以上と長い準備期間がかかる場合もあります。また開発スケジュールの都合上、データの納期に間に合ってもデータが出た頃には世間のブームが過ぎてしまっている可能性もありますので、テーマ設定はとても難しいですね。しかし、研究職でありながらマーケティングや製品開発の立場に近い位置でお客様のコンセプトに合わせた提案ができるところにやりがいを感じます。自らが取得したデータが製品開発に貢献した時やお客様の商品拡販資料に役立った時は、大変嬉しかったですね。この研究結果はその後論文として発表しています。販促のための資料としてだけでなく論文として世に出すことによって、協和発酵バイオの技術力を世間に発信していくことも私たちの使命ですね。

ヒト試験における手続きを進める

ヒト試験における手続きを進める

研究機関と共同で行う
基礎研究

研究機関と共同で行う基礎研究については、最近では循環器疾患を専門とする医療機関と共同研究を行い、シトルリンの摂取により狭心症に伴う血管内皮機能不全を改善する効果をヒト試験で明らかにしました。血管内皮機能が低下すると、血管を広げて柔軟にする働きを持つNOの産生が減少してしまいます。この研究は、元々血管内皮への作用メカニズムを深堀りしたかった私たちと、患者さんの血管機能不全の改善を目指す先生との間で意気投合したことによって始まりました。先生のお話を伺うと、現在では血管の機能が悪くて心臓が苦しく、日常生活にも支障がある方が多くいることが分かりました。シトルリンがこのような方の生活の質を改善することができれば、社会的な貢献にもつながり、かつ科学的にも意義のある結果を得られると思い共同研究を始めました。

ヒトにおける血管内皮測定の様子

ヒトにおける血管内皮測定の様子

当時、シトルリンが血管機能に良い働きをするということは動物実験レベルでは分かっていましたが、ヒトでの有効性は解明されていませんでした。ヒト試験は狭心症患者を対象にシトルリンを1日当たり800mg、8週間摂取させ、血管内皮機能の指標である血流依存性血管拡張反応(FMD)(※)や血栓性血管疾患の原因となる酸化LDL、血中NO濃度などを測定しました。その結果、シトルリン摂取4週目からFMDの有意な改善や酸化LDLの低減も見られました。これにより、世界で初めてヒトでのシトルリン摂取による血管内皮機能の改善、また酸化LDLの低減などについてメカニズムも併せて明らかにしています。

※血流依存性血管拡張反応(FMD)
血管内皮機能を評価する指標であり、血管の止血から再開後の血管拡張反応を超音波により測定する。血管内皮機能が低下していると血管拡張物質のNOの産出が減少し、FMD値が低下する。

学会で発表をする

学会で発表をする

酸化LDLを介した血管内皮障害のメカニズム

酸化LDLを介した血管内皮障害のメカニズム

質の良い研究データを納期までに間に合わせなければならないため、効率良いスケジュールを組んで実験することに苦労しました。また、上記のむくみ抑制効果のヒト試験とも関連しますが、ヒト試験では外部の専門会社と連携して行うため様々な手続きが伴い、私たちが考えた研究計画を多くの書類として準備しなければならないことも大変ですね。良いデータを得ることができたらしっかり世の中に発信して医学界に認めてもらいたいという思いから、取得データをもとに、先生と一緒にシトルリンの有効性を医学研究者に伝える活動もしています。それがきっかけとなり輪が広がっていくこともあり、今後さらにシトルリンの有用性が広まっていくと期待できますね。

シトルリンについて
将来どんな研究をしてみたいですか?

当社ではシトルリンの健康食品素材としての可能性を研究しています。そのため、患者さんに対象が限られる医薬品とは異なり、様々なシーンでの利用が可能です。当社は今までにシトルリンについて様々な研究を行い、データを蓄積しています。これまでに明らかにしたシトルリンの作用をもとに、シトルリンと生活シーンを組み合わせることによって商品を提供できるような研究を行いたいですね。シトルリンは血流を促進する作用があるので、例えば運動や入浴の生活シーンと組み合わせることによる代謝効率アップの可能性にも興味を持っています。

また機能性開発研究は様々な企業で行われていますが、当社のようにこれだけ自分たちで力を入れて研究を行っている企業は数少ないと思います。当社は大学や医療機関と対等な立場で研究を行っており、研究を行う中で外部の研究者と信頼関係を築いています。少数精鋭で機能性開発研究に力を入れられる環境に感謝し、今まで以上に新しい機能を開発・解明していきたいと思っています。

日常風景

日常風景

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