協和発酵バイオ

新着情報

2017.3.1
2018年新卒採用のエントリーを開始しました!皆さんのご応募お待ちしています。

アメリカで奮闘する研究職たち

生産技術研究所の研究職は、協和発酵バイオグループの国内外生産拠点のプロセス開発研究を担当しています。海外の生産拠点に派遣されるチャンスも多く、世界的な医薬・医療・ヘルスケア用途のアミノ酸の需要増加に応えるために奮闘しています。ここではアメリカの生産拠点に焦点をおいて、研究職が活躍する姿を紹介します。

協和発酵バイオグループのBIOKYOWA INC.について

現在、協和発酵バイオグループの生産拠点は日本、アメリカ、中国、タイの4極体制です。約30年前の1982年に、海外でのアミノ酸市場の急速な拡大に対応するため、アメリカの生産拠点「BIOKYOWA INC.(以降BK)」の設立に踏み切りました。現在、BKは生産能力・技術面で当社グループの主力工場との位置づけにあります。

アミノ酸発酵を行うBKは、有している発酵槽も当社グループの工場の中では最大級です。その発酵槽をはじめとした設備で最先端の技術を駆使して、主にアメリカやヨーロッパに向けて各種アミノ酸を生産しています。

アメリカ ミズーリ州の南東部に位置するBIOKYOWA INC.

アメリカ ミズーリ州の南東部に位置するBIOKYOWA INC.

BKに活躍の場を広げる研究職のミッション

近年の世界的な医薬・医療・ヘルスケア用途のアミノ酸の需要大幅増に応えるため、BKにおいても引き続き各品目のさらなる生産性向上が求められています。

BKに派遣された研究職たちは、新型設備の導入のみならず、導入した設備による生産性を最大限まで向上させるために、化学工学、結晶工学、機械工学など複数分野の専門性を駆使した検討を行います。ここでは、一人の研究員をピックアップしながら、実際の仕事について紹介します。

2007年の入社以来、生産技術研究所で一貫して精製研究に従事してきたこの研究員は、国内工場での豊富な現場導入経験や多くの品目の精製検討を行ってきたこと、そして何よりも社交性とバイタリティーにあふれており、現地社員と協力して現場に入り込み、細かい部分まで調査・検証できる人材として大きな可能性を感じたため、BK派遣に抜擢されました。

オフィスにて

オフィスにて

プロセス改善による製造安定化と生産性向上

BKへ派遣されてすぐに取り組んだのは、2013年に導入した新型濃縮機の製造安定化です。新型濃縮機の導入によりエネルギー効率は抜本的に改善されたものの、導入以来、ファン部分の振動が破損リスクを高めていました。振動の原因を調査したところ、濃縮中に析出する小型結晶が蒸発水と共にファンに入り込んでいることが判明しました。その事象を解決するため、生産技術研究所で培った化学工学の専門性を駆使して、濃縮温度を最適化することで蒸発速度をコントロールし、ファンの破損リスクを排除しました。

加えて、アミノ酸の生産性向上にも取りかかりました。生産の律速点を解析したところ、結晶分離工程に改善の余地があることが分かりました。そこで製造に密着して得た情報をもとに、安定製造を考慮しながらプロセス改善を行った結果、生産性は従来の1.3倍にもなり、年間にして億単位のコストメリットを実現することができました。

BKは大量生産工場のため、小さく思える改善でも莫大な利益を生むことができます。このような細かい部分まで原因を追究し、より良いプロセスへと導くことが日本から派遣された研究職には求められているのです。

メンバーとのプロセス改善検討

メンバーとのプロセス改善検討

市場開拓に向けた技術的対応

BKで働く研究職は製造に近い応用研究をしているため、世界各国の販売拠点の営業職から技術的な相談を受けることが多々あります。例えば、より溶けやすいアミノ酸を作って欲しいというお客様からの要望が営業職を通して伝えられ、研究職は物性や品質の改善を通してお客様の要望に応えます。自分が担当した製品が世の中に広まって欲しいという思いを込めて、お客様に技術的対応を行います。

また、新たな市場開拓の可能性を探るため、既存の製品をさらに細かく分析することもあります。BKの各製品についての分析・考察を重ねた結果、ある品目が今よりもさらに高品質なグレードの市場に導入できる可能性を見出しました。高品質グレードの市場に導入するためには、新たな分析項目を満たすことが必要となります。さっそく最適な分析装置をアメリカ中から探して分析をした結果、考察どおり見事に高品質グレードの規格に合格することが分かりました。技術的対応を終えた後は新たなビジネスに展開するため、営業職にバトンタッチされます。このように研究職の発想力や探究心から、新たなビジネスが始まることも、製造拠点で研究する醍醐味なのです。

営業担当から相談を受けることも

営業担当から相談を受けることも

現地スタッフへの技術の継承

BKで研究部門を立ち上げたのは数年前のため、自らの知識や技術をメンバーに伝えることも日本から派遣された研究職のミッションの1つです。アメリカ人のアシスタントには、OJTによって日々教育を行っています。将来BKで研究部門を担っていく研究員を育成するため、実験手順を文書化するなどの工夫をしながら彼らに精製研究の技術を伝えます。説明に多くの時間を要することもありますが、きちんとコミュニケーションを取りながら技術を継承していくのは大変やりがいがあります。上司も部下もアメリカ人のBKでは、現地スタッフとオープンな関係を築くために、日本人同士で話す時も日本語の使用は禁止されています。また、持ち前のバイタリティーを活かし、研究部門だけではなく、品質管理部門、製造部門など垣根を越えて連携しています。研究面からの助言により各部門をサポートしているため、トラブルが起きると一番に頼られる存在と言えます。

アシスタントとの実験風景

アシスタントとの実験風景

BKや関係者の今後の展望

アメリカでは、ダイエタリーサプリメントの原料としてのアミノ酸の需要が伸びています。中でも、スポーツニュートリション領域での伸びが顕著で、原料の市場は年率7%で成長すると予測されています。このような市場環境の中、BKでの生産量はほぼ毎年過去最高を更新していますが、BKには、アメリカの巨大なダイエタリーサプリメント市場に素材を供給する拠点としての役割もありますので、今後も生産性向上のためのプロセス改善や設備投資は続いていきます。

昼休憩のひとコマ

昼休憩のひとコマ

~本人に、BKに派遣されてからこれまでを振り返って、感想と意気込みを聞きました~

BKの研究部門のメンバーに技術を伝える時には、言葉の問題と同じぐらい思考の問題にも直面します。日本と環境が違う中で、精製研究についての技術と面白さを伝えるのは一苦労なのです。精製の仕事は菌株を育種して培養検討を行った後から始まり、培養液を製品にするものです。最終製品の品質は精製研究に委ねられていると言えるほど重要でやりがいがある仕事なので、その魅力もBKのメンバーに伝えていきたいです。現在、BKの研究部門は発足して数年しか経っていないこともありできることは限られますが、将来的には生産技術研究所の研究職と対等以上の技術を持ったハイレベルな組織に発展して欲しいですね。「技術に国境なし」、この言葉を胸に、彼らの現場に立脚した知識と私の精製研究知識を融合させながら、さらに前進していきたいと思います。

BKに咲く桜の木

BKに咲く桜の木

最近のトピックス
新型濃縮機導入事例

BKにおけるアミノ酸の大幅な増産に対応するため、2013年に新型濃縮機が導入されました。このプロジェクトには、当時わずか入社2年目の研究職が生産技術研究所よりリーダーとして抜擢され、検討から導入まで携わっています。

建設途中の新型濃縮機

建設途中の新型濃縮機

新型濃縮機導入の背景には、世界的に増えている高付加価値アミノ酸の需要がありました。BKで生産しているアミノ酸の中でも、さらに大きく需要が増える見込みの品目がありましたが、その品目は精製プロセスのうち濃縮工程が生産性向上のネックとなっていたのです。新入社員時代から精製についての研究を行っていたプロジェクトリーダーは、まず世界中のありとあらゆる濃縮技術、設備を調査しました。その結果、ヨーロッパのあるメーカーの濃縮機であれば、濃縮工程が律速であった品目を増産でき、また他品目にも対応して各種アミノ酸の生産性を向上させ、今後の当社グループの濃縮機のスタンダードとなる可能性があるということを見出します。さらにその濃縮機には、蒸気を効率的に再利用するシステムが搭載されており、エネルギー効率が抜本的に改善されることが期待されました。

導入検討開始から1年後の2009年に、工場での製造に利用する実機よりも規模の小さいパイロット機を購入し、生産技術研究所でアミノ酸の生産性向上のための本格的な研究がスタートしました。生産性やエネルギー効率は改善される結果が得られたものの、濃縮中に析出するアミノ酸の結晶が破砕され、製品として出荷できる規格に至らないという新たな問題が発生します。

そこで生産技術研究所では化学工学の専門性を駆使して原因を解析し、結晶が破砕されないようにパイロット機を改造しました。日本で入念な検討を重ねた後、BKでのパイロット試験、実機の建設工事を経て、2013年には新型濃縮機の実機試験を成功させました。現在では既に新型濃縮機を利用して検討開始のきっかけになったアミノ酸の生産が行われており、BKで生産している他の品目への展開も進めています。

このように、生産技術研究所の研究職が検討した技術が基盤となり、当社各拠点の生産性向上に大きく貢献しています。

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