血液中のオルニチン濃度が高まっている極めて稀な遺伝子疾患について
血中のオルニチン濃度が高まっている疾患として、以下に述べます脳回転状網脈絡膜萎縮症とミトコンドリアオルニチントランスポーター欠損症(HHH症候群)が知られています。どちらも極めて稀な遺伝子疾患です。両疾患ともオルニチンの血中濃度は高くなっておりますが、オルニチンが高濃度存在することが疾病の症状を引き起こしているかどうかについての明確な見解はなく、オルニチンと疾病発症の関係は解明されていません。
この二つの極めて稀な遺伝子疾患の患者の方々は血中のオルニチン濃度が高くなっておりますので、サプリメントなどでさらにオルニチンを摂取されることはお控えいただくのが適切です。
脳回転状網脈絡膜萎縮症は、日本では十数症例が知られており、数十万〜百万人に一人の頻度と考えられる極めて稀な眼科領域の遺伝子疾患です。症状としては、通常10歳までに網膜の障害により夜間視力低下がみられ、10代には周辺視力の低下が認められます。ほぼすべての患者が10代後半から20代前半に視力障害を発症します。同疾患の患者の方々はオルニチン代謝酵素(オルニチンアミノトランスフェラーゼ)の欠損により血中のオルニチン濃度が高くなっております。
HHH症候群も極めて稀な遺伝子疾患です。日本では10例程度の症例報告があります。患者の方には、通常は子供のころから発作性の意識障害などが現れます。同疾患の患者の方々は、オルニチン代謝に関るミトコンドリアオルニチントランスポーターという輸送体が欠損しているためにオルニチンサイクルが正常に回らず、血中のオルニチン濃度が高くなっております。
【参考文献】
- The Hyperornithinemias in The Metabolic & Molecular Bases of Inherited Disease., 8th ed., 1857-1895, 2000.
- Gyrate atrophy of the choroid and retina. Genetic Home Reference. U.S. National Library.
- 鳥巣浩幸, 小児科診療 Vol.72 増刊号(小児の症候群). 352, 2009
- Hayasaka S. et. al., British Journal of Nutrition. DOI: 10.1017/S0007114511003291.2011.







