2015年10月23日
日本アミノ酸学会第9回学術大会(JSAAS2015)において
シトルリンの網膜血管及び水晶体に対する作用を発表
協和発酵バイオ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小谷 近之)は、ラットにおけるシトルリン*1の投与が、網膜循環不全や白内障の予防に有効であることを北里大学薬学部 石井 邦雄 教授、森 麻美 助教らの研究チームとの共同研究において見出しました。この研究成果を、2015年10月23日~24日に滋賀県立大学にて開催される日本アミノ酸学会第9回学術大会において発表します。
協和発酵バイオは、ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。
<発表の概要>
日時 | 2015年10月23日(金)11:45-12:25 |
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場所 | 滋賀県立大学 |
演題番号 | 口頭発表 2 O-4 |
演題 | L-シトルリンの網膜血管及び水晶体に対する作用 |
<研究の概要>
網膜症や白内障は、後天性の視力低下要因として大きな比率を占めています。網膜組織は酸素要求量が多いため、糖尿病などにより網膜の血流が低下すると、容易に視神経が障害され網膜症へ繋がります。また、白内障は加齢に伴う酸化ストレスの増大などにより、水晶体タンパク質の変性に伴って進み、年齢とともに視覚機能低下をもたらします。
そこで本研究では、一酸化窒素(Nitric Oxide: NO)産生作用及び抗酸化作用を有するL-シトルリンに着目し、網膜血管及び糖尿病性白内障に及ぼす効果を検討しました。その結果、ラットへのL-シトルリン投与により網膜細動脈の用量依存的な拡張が観察されました。また、白内障モデルラットへのL-シトルリン投与は、高血糖により進む水晶体白濁の増大を有意に抑制することが分かりました。従って、L-シトルリンは網膜循環障害や白内障といった視力低下の予防に、有望な素材であることが期待されます。
<用語説明・文献>
*1 シトルリン(L-シトルリン): アミノ酸の一種であり、血管内皮機能改善作用や筋タンパク質合成促進作用を有することが報告されています。
学会リンク:日本アミノ酸学会第9回学術大会