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研究者インタビュー

アミノ酸を直接つなぐ酵素を世界で初めて発見

田畑 和彦 協和発酵バイオ株式会社 研究開発部長

研究者としての出発点

 大学の農学部で微生物を研究していた私が協和発酵バイオ(当時:協和発酵工業株式会社)に入社したのは、この会社が伝統的な食品分野における発酵の応用というよりは、全く新しいものづくりの分野で、微生物の発酵にチャレンジしてきたパイオニアだったからです。また当時大学に協和発酵バイオの研究者で、グルタミン酸生産菌を発見した方が教授としていらっしゃったので、この会社に親近感もあって入社しました。

 元々研究職に対するこだわりは無かったのですが、結果的に研究所に配属されることになりました。基礎研究の仕事に携わるようになって、まず大学とのレベルの違いに愕然とさせられましたね。とにかくまわりのスピードに付いていくのが精一杯で、学生時代のころと比べて何倍も勉強させていただきました。入社以来研究畑一筋です。

ジペプチドとの邂逅

 ジペプチド(Dipeptide)とは、アミノ酸が二つつながったもののことをいいます。タンパク質を構成するアミノ酸は、つながっている数によって呼び名が異なり、二つならジペプチド。数個つながったものはオリゴペプチドと呼ばれています。そして数十から数百つながったものがタンパク質です。単体では水に溶けにくいアミノ酸も、二つ結合したジペプチドになると水溶性が高くなります。これを活用することにより、これまで水溶液中で不安定であるために使うことのできなかった一部のアミノ酸を、飲料をはじめ、医療(輸液)にも使えるようになりました。

 私がジペプチドの研究に携わるようになったのは、入社4年目でした。まったく新しい酵素を探すという、とてつもないミッションだったのですが、最初は「まず見つからないだろう」という気持ちがありました。でもその時、「見つかる可能性が少ないとわかっているのなら、あえて最初に普通はやらない簡便な方法で探してみよう」という、ちょっとした遊び心みたいな考えがふつふつと沸いてきたんです。簡単にいうと、遺伝子配列の情報に基づいて絞り込みをかけて探してみるという、ある意味ヤマをはるような方法だったのですが、試しにそのやり方で探してみたところ、なんとこれが見付かってしまったんですよ(笑)。これには自分自身が一番驚きましたね。上司もとても驚いていましたけど、こういうチャレンジを許してもらえる会社だったということが、私にとっては幸運だったと思います。

歴史的発見を生んだ、自由闊達な社風

 協和発酵バイオは、自由な社風というか、良い意味での放任主義なところがあって、やる気があれば若くても責任のある仕事を任せてもらえます。逆にやらなければどんどん置いて行かれます。我が社に限らず、研究所というのはクローズされた世界なので、自分から外に出て行かなければ、新しいものに出会う機会がありません。内にこもっていれば、いつまでたっても限られた枠の中でしか物事を考えることができません。だから私も学会や研究会などには積極的に参加するようにして、新しい空気を吸って知識や情報を身に付けていくようにしています。

 私がジペプチドの研究を担当することになったのはまったくの巡り合わせです。会社という組織で働いている以上、何をテーマに研究するかは自分で決められるわけではないので、ある程度“運任せ”の部分がありますが、それでも私はその幸運に巡り逢うためには、目の前にある研究にのめり込むことが必要だと思っています。のめり込む情熱や思い込む気持ちが、研究者にとって大切な才能のひとつだと思うんです。しかしそれと同時に、「割り切り」も大事です。ある程度のめり込んでみて、ダメなようならサッと見切りを付けて次に進むという潔さです。研究対象は限りなくありますが、人間一人に与えられた時間には限りがあります。見込みのないものにムダな時間を費やすより、可能性のあることに取り組んだ方が効率的じゃありませんか。加えて言うなら「打たれ強さ」も必要ですね。研究の仕事は総じて失敗ありきなので、一度や二度の失敗でへこたれずに突き進む図太さも大事な素質です。

 私が好きな言葉に、「セレンディピティ」というのがあります。何かを探しているときに、思いがけなく別の価値あるものを見つける能力、そういった幸運を招き寄せる力のことを指す言葉です。これはさる高名な研究者の方も仰っていたのですが、研究者に必要な資質は、まさに「セレンディピティ」だそうです。日々のたゆまぬ努力が、思いがけない発見に巡り逢うチャンスを与えてくれるのです。

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